家電製品の製造メーカに勤めていた私は、当時台湾の台中市にある合弁会社に滞在していました。そこで、私は沢山ある部品メーカからの新製品の部品調達の仕事を担当していました。
その日は、台中市から高速バスで2時間ほどの台湾第2の都市高雄市にある部品メーカで午前中に初品が完成するとの連絡があり、品質確認をするために昼一に到着するように出かけました。
何度も訪れているメーカ、予定通り到着するといつもの女子事務員(廖英華)の娘が応接室へ案内してくれました。そこには、初品と検査データが用意されていました。
挨拶を簡単に済ませ、早速品質確認を開始。測定データでは不備はありませんでしたが、微妙な品質は実機評価をしてみないと分かりません。
続けて、持ち込んだ試作品に組み込んで性能評価に移りました。彼女も私に付きっ切りでアシストしてくれました。結局、評価が終わったのは夜8時を過ぎていました。
その夜は、彼女も同伴してメーカさんの接待で遅い食事。食事の時「遅くなったけど帰りは?」彼女に尋ねると、「終バスがないので私も今夜はホテル」と英華の返事でした。
食事を終えた時は既に10時。そして、英華の案内でホテルへ。彼女の部屋は私の隣でした。部屋へ入る時「一緒に飲みませんか」誘うと、「じゃ着替えてきます」英華は部屋へ入って行ました。
シャワーを済ませて飲んでいると、薄手のガウンに着替えた英華が入って来ました。物静かな昼間の英華とは一変したその姿に驚かされました。
ちょっと恥ずかしそうにしている英華にウヰスキーを勧めると、「ええ、頂きます」・・・ お互いに、少し酔っぱらいました。・・・その夜英華は、自分の部屋へは戻りませんでした。
台中へ戻った後「あれも接待・・・」、そんなことを思っていた或る日「この前は有難う! 今度の休み遊びに行くから!」、それは電話の向こうの英華のはずんだ声でした。