はじめに:増やせるのに、なぜ残らないのか?
海外FX(XMなど)でレバレッジ1000倍。
証拠金1万円。0.01ロットでコツコツデイトレ。
1回あたりの利益は +500円。うまくいけば +3,000円。
損切りもちゃんと入れて、ルールも決めている。
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「ポジションは0.01ロットだけ」
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「同時に持つポジションは1つまで」
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「逆行したらちゃんと損切り」
こうやってコツコツやっていけば、
1万円 → 4万円、1万円 → 8万円くらいまでは、正直そんなに難しくない。
実際、「そこまでは何度もいけた」という人も多いはずです。
なのに。
ある日突然、全部溶ける。
たった一回のミスから、歯車がずれて、気づいたら口座がゼロ。
この記事では、
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なぜ「勝てる実力があるのに、最後には溶かしてしまうのか」
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その一回のミスは、具体的にどの瞬間に起きているのか
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どうやったら、そのミスを防げるのか(心理面+実務面)
を、まさにあなたが経験したであろう“あのパターン”に特化して解説します。
よくあるパターン:「コツコツ増やして、ドカンで溶かす」の流れ
まずは、ありがちな流れを整理してみます。
① 最初は完璧にルール通り
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ロット:0.01ロット固定
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同時ポジション数:1つだけ
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損切り:事前に設定してからエントリー
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1回の利益:+500円前後、多いと+3,000円
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1万円スタート → 2万円 → 3万円 → 4万円…と順調に増えていく
この時期は「自分、けっこういけるんじゃない?」という自信もつき、
相場を見る目も少しずつ育ってきた感覚があります。
② たった一度の「まぁ、いっか」から歯車がズレる
ある日、こんなことが起きます。
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いつもは0.01ロット1つだけなのに、
0.01ロットを2つ、3つと持ってしまう -
「損切りすればいいし、まあ大丈夫でしょ」という軽い気持ち
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エントリーした後に、思った以上に含み損が急に膨らむ
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「戻ってくるはず」と思って、損切りが押せなくなる
この時点で、 「ルール破り」+「損切り不能」 という
負けパターンのスイッチが入っています。
③ 取り返したくて、ロットを一気に上げる
含み損に耐えきれず、または損切りしてしまった後で、
「この負け、取り返さないと気が済まない」
「今までも増やせたんだから、ちょっとロット上げればすぐ戻せる」
と考えてしまい、今度は
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0.1ロット(いつもの10倍)でエントリー
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しかも、冷静さを欠いた状態で、根拠も弱い場所で入ってしまう
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逆行したときの損切りが遅れる、もしくはできない
→ 結果、一気に口座が溶ける。
ここまで来ると、もう「手法」とか「チャートの見方」の問題ではありません。
完全に メンタルとルールの問題 です。
なぜ、たった一回のミスで全てを溶かしてしまうのか?
この失敗には、いくつかの心理トリックが絡んでいます。
1. 「慣れ」と「過信」が、ルールを緩めさせる
コツコツ勝てるようになると、
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「0.01ロットなんて、安全すぎる」
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「自分のエントリーはそんなに間違ってない」
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「ちょっとくらいポジション増やしても大丈夫でしょ」
という 慢心・過信 がじわじわ出てきます。
ルールは「守るもの」から「邪魔な枠」に感じてしまい、
ふとした瞬間に「まぁ今日はいいか」と破られてしまう。
2. 損失を認めるのが怖くて、損切りが押せなくなる
含み損が膨らんできたとき、頭の中ではこうなっています。
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「まだ確定損失じゃないから大丈夫」
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「ここで切ったらもったいない」
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「もう少し戻るかもしれない」
これは損失回避バイアスと呼ばれる、人間のごく自然な心理です。
この「怖さ」がピークになったとき、
損切りボタンよりも、チャートを見て固まる方を選んでしまうのです。
3. 負けを「なかったこと」にしたくて、ロットを跳ね上げる
一度大きくやられると、
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「さっきの損失は、自分らしくない“たまたまの事故”」
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「本当は自分は勝てるんだから、早く取り返して元に戻したい」
という気持ちになります。
そこでやってしまうのが、
「いつもの10倍ロットで一撃で取り返そう」
という選択。
これは、冷静な判断ではなく
**「恥ずかしい負けを帳消しにしたい感情」**で押されたエントリーボタンです。
この失敗を防ぐために「具体的に」どうすべきか?
ここからは、心理面と実務面に分けて、
同じ失敗を繰り返さないための対策を書いていきます。
1. 「マイルール」を“文章と数字”で固定する
まず大前提として、
ルールは頭の中ではなく、紙かメモに書き出すべきです。
例:今回のケースに合わせたルール化
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ロット:
→ 「0.01ロット固定。0.02以上は絶対に持たない」 -
同時ポジション数:
→ 「同時保有は1ポジションのみ」 -
1回の最大損失:
→ 「1回のトレードでの最大損失は口座残高の1〜2%まで」 -
1日の最大損失:
→ 「1日で口座残高の5%負けたら、その日は強制終了」 -
「ルールを破ったら、その日は即トレード終了」
ポイントは、
**「多い・少ない」ではなく、「数字で決める」**こと。
「今日は気分いいし、ちょっとくらい…」
という曖昧さが入る余地を消します。
2. ロットではなく「1回あたりのリスク」で考える
レバレッジ1000倍だと、つい「小さいロットだから大丈夫」と感じがちですが、
本当に見るべきは 「1回のトレードで、いくら失う可能性があるか」 です。
たとえば、
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口座残高:10,000円
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1回のリスク:1%(=100円)にする、と決めたとします。
この場合、
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損切り幅が10pipsなら → 1pips=10円 → ロットは0.01ロット
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損切り幅が20pipsなら → 1pips=5円 → ロットは0.005ロット
こんなふうに、本来は
「損切り位置(pips)」 × 「ロット」 = 「最大損失額」
からロットを計算するべきです。
この 「リスクからロットを逆算する癖」 を身につけるだけで、
0.1ロットに感情で飛びつくことはかなり減ります。
3. 最も危険な瞬間は「ルールを初めて破るとき」
実は、
**口座を溶かす一撃より危険なのは「初めてのルール破り」**です。
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0.01ロット → 「ちょっとだけなら」と0.02ロットに
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1ポジション → 「もう1つ行けそう」と2ポジに
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損切りライン → 「もう少し下げれば助かるかも」とズラす
この「最初の一歩」を踏み出した瞬間に、
“自分ルールの権威”が壊れます。
一度壊れると、
「前も破ったけど、別に大丈夫だったし」
と、すぐに緩んでいきます。
対策:ルール破り=即トレード終了
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「ルールを1つでも破ったら、その日は即終了」
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チャートも閉じて、MT4/MT5も閉じる
これを絶対ルールとして決めておくと、
「最初の一歩目」がだいぶ踏み出しにくくなります。
4. 心理面からの対策:感情が暴れているときの“自分チェックリスト”
トレード中、こんな感情が出てきたら危険信号です。
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「早く取り返したい」
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「さっき切らなきゃよかった、悔しい」
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「この負けは自分らしくない、事故だ」
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「もうちょっとだけロット上げても、大丈夫な気がする」
これらが出てきたら、一度マウスを置いて手を止める。
簡単なセルフチェック方法
紙やメモに、以下を書いておきます。
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今、自分は落ち着いているか?(はい/いいえ)
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損失を「なかったこと」にしたくてエントリーしようとしてないか?(はい/いいえ)
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このエントリーは、さっき決めたマイルールの中に入っているか?(はい/いいえ)
1つでも「いいえ」があったら、そのトレードは見送る。
たったこれだけでも、0.1ロットの暴走エントリーはかなり減らせます。
5. 環境面での工夫:暴走を物理的に防ぐ
メンタルだけに頼らず、物理的な制限も使いましょう。
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ロットサイズの「お気に入り」設定を0.01だけにしておく
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0.1ロットを打つには、何回もクリックしないと選べないようにする
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1日のトレード後、口座から一部を出金しておく(残高を減らす)
また、
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連敗したら、チャートから物理的に離れるルールを作る
(10分散歩、コーヒーを入れに行く、スマホを別の部屋に置く、など)
といった「仕組み」で、自分を守ることもかなり有効です。
6. 一度溶かしてしまった人へ:リスタートの考え方
もしもう既に、
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1万円 → 4万円 → 一気にゼロ
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何度も同じパターンで溶かしてしまった
という状態なら、次にやるべきことは 「手法探し」ではありません。
やることはシンプルで、
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今回の失敗パターンを紙に書き出す
→ 0.01ロット複数 → 損切りできない → 0.1ロットで取り返し → 溶ける -
それぞれのステップで、**「何を感じて、どう考えて、その行動になったのか」**を書き出す
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その感情が出たときにやる「代わりの行動」を決める
例:-
「取り返したいと思ったら → その日はトレード終了」
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「損切りを躊躇したら → ロットを半分に落として、もう一度計画を立て直す」
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これをやってから、少額・0.01ロットだけで再開する方が、
同じ失敗を繰り返す確率をかなり下げられます。
おわりに:本当に直すべきなのは「テクニック」ではなく「たった一歩」
1万円を4万円、8万円に増やせる力があるなら、
あなたはすでに「勝ち方」を知っている人です。
問題は、
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0.01ロットを2つ・3つに増やしてしまう「たった一歩」
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0.1ロットで取り返そうとしてしまう「たった一歩」
この 「最初の一歩の暴走」 をどう止めるか、だけです。
そのために必要なのは、
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数字で決めたマイルール
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ルール破り=即終了の徹底
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感情が揺れたときのセルフチェック
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物理的な制限・環境づくり
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自分の失敗パターンを言語化しておくこと
これらを記事の内容として読んで終わりにせず、
実際に紙やメモに書き出して、PC・スマホの横に貼るところまでやってみてください。









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