【認知症】詳しく知れば認知症は怖くない!

認知症と聞けば誰もが理解できる世の中ですよね。認知症の人が行方不明になってしまったなどの事件も聞きます。誰もが歳を重ねると認知症になる可能性はありますし、認知症の人に接する時もあります。

そこで、認知症について詳しく知って適切なケアや認知を防ぐ方法を考えてみましょう。

<第一章:認知症とは>

認知症とは、直前の事がすぐに分からなくなる、やり方が分からないなどの物忘れに似た症状です。進行すると季節が分からない、幻覚を見る、しゃべらなくなる、身動きしないなどの症状も出てきます。

この認知症に加え、糖尿病などの別の症状や病気が出てきたり、認知症で身動きをしないがために褥瘡(じょくそう・床ずれ)ができてしまうなどもあります。

※褥瘡とは、寝たきりなどで体重が皮膚を圧迫して血行が悪くなり、皮膚にただれや傷ができる事です。

認知症を発症するデータ

2018年では、65歳以上の人の7人に1人が認知症とのデータがあります。また、医療の発達などで平均寿命は伸びているので、認知症を発症する人は年々増えています。2012年は15%、2015年は15.7%の人が認知症との事で、認知症は国民病とも言われています。
つまり、身近な人で認知症を発症するのはもう珍しくないって事ですよね。

ただ、だからといって認知症に恐れを感じる必要はありません。いきなり認知症になる人ばかりではなく、兆候はあります。また、認知症の人との適切な接し方もあるので、大切なのは知る事なのです。

認知症の原因

認知症の原因は、脳の神経細胞が様々な理由で減少、または破壊されてしまう事です。

様々な原因とは、遺伝が関係しているとの考えもあれば、喫煙やストレスが関係しているとも言われます。また、高血圧や糖尿病、脳梗塞、パーキンソン病(手の震えや歩行困難などが起こる症状)が原因とも言われます。

本当に様々な事が認知症の原因になるので、これが原因だっ!とハッキリ言えないのが認知症です。

認知症の種類

認知症にはいくつか種類があります。

・アルツハイマー型認知症
・血管性認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症

この4つが四大認知症と呼ばれ、この他にも若年性認知症、進行性核上性まひ、皮質基底核変性症、ハンチントン病、パーキンソン病による認知症などもあります。

この中でも最も多いのがアルツハイマー型です。続いて多いのが血管性です。日本ではアルツハイマー型と血管性が多く、レビー小体型も増えています。

<アルツハイマー型認知症>
アルツハイマー型認知症は、脳にある特殊なたんぱく質が蓄積されて起こるのが原因です。直前の記憶がなくなり、買い物に行って同じ物を何度も買ってしまうなどの症状が現れます。

もの忘れよりも先に不安感が出る、抑うつ(憂鬱になる、落ち込む)などの症状が出る場合もあり、認知症と気付いた時には進行している可能性もあります。また、もの忘れをしている自覚は最初はありますが、次第に忘れているのも分からなくなっていきます。

アルツハイマー型は女性に多く、徐々に進行していきます。また、原因はまだ研究中ですが、人によって症状が違うので原因も様々だと考えられます。認知症やダウン症、パーキンソン病の人が家族にいる、うつ病になった事がある、高齢出産などが関係しているのではないかと言われますが、まだ全て解明できた訳ではありません。

<血管性認知症>
急に認知症を発症し、脳の血管が詰まる脳卒中を起こす度に症状が悪化する認知症です。アルツハイマーだと緩やかに進行していきますが、血管性は階段のように急に落ちていくのが特徴です。

血管性は60歳以上の男性に多く、麻痺、歩行障害、感情失禁(急に泣き出すなど)、抑うつなどの症状が現れます。また、進行しても、もの忘れしているとの自覚が残ります。

脳のどの部分の血管が詰まるかで症状は異なりますが、尿をもらしてしまう、食べ物を飲み込めないなども症状としてありますし、日によって症状の大小が違うのも特徴です。また、アルツハイマー型と共に発症する事もありです。

<レビー小体型認知症>
精神病と間違えやすいのが特徴です。意識があるのに、目の前に人がいるなどのハッキリした幻覚が見えます。レビー小体は特殊なたんぱく質の事で、脳の視角を司る場所にこのたんぱく質がたくさんあると、幻覚を見てしまうのです。
また、パーキンソン病のように手足が震える、まだ戦争中だと思っているなどの誤認妄想などの症状もあります。

レビー小体型は男性に多く、精神病の薬に過敏に反応して副作用がでやすいのも特徴です。

<前頭側頭型認知症>
脳の血行が悪くなって発症する難病で、精神病と間違いやすい症状です。

もの忘れよりも性格が変わる事が多く、ぼーっとする、身だしなみを気にしなくなるなどが最初に起こります。また、窃盗、過食や拒食などの食行動異常なども起こります。
さらに、言葉が思い出せずに言葉にできない、意味は分かるけど名前が出ないなど会話が困難になる事も。

症状が進行すると、同じ事を繰り返しする、しゃべっているのに突然去ってしまうなども起こり、無関心、末期には身動きしない、言葉を発しないとなります。

もの忘れとの違い

歳を取れば、誰もがもの忘れをしまうよね。「あれはなんだったかな?」と度忘れした経験は誰にでもあるでしょう。忘れてしまうのは誰もがありますが、認知症はもの忘れとは違った忘れ方をします。

<もの忘れ>
・した事の一部を忘れる(出掛けたけど何を食事したか忘れたなど)

・忘れたと自覚している

・時間が経てば思い出す、ヒントがあれば思い出す

・判断力や計算力は低下しない

・人格は変わらない

・幻覚なし

・もの忘れは酷くならない

<認知症>
・した事自体を忘れる(出掛けたのを忘れる)

・もの忘れの自覚がない、または自覚がなくなる

・時間が経ってもヒントがあっても思い出せずに話がデタラメになる、作り話が生じる

・判断力や計算力が落ちる(善悪の区別がつかないなど)

・人格が変わる

・幻覚がある

・もの忘れが酷くなる

もの忘れは軽度ですが、認知症は重度になっていくのが違います。また、忘れるだけでなく、人格が変わる、幻覚があるなども特徴です。もの忘れが酷くなったかな?うつかな?と思ったら、それは認知症の始まりかもしれません。

何歳から認知症は発症?

認知症を発症するのは生活習慣や過去の病気などで脳がダメージを受けた時なので、発症は自然と高齢者が多くなります。

2017年のデータだと、75歳~79歳で認知症になった人は約11%ですが、85歳以上だと55%との情報があります、85歳以上になると、2人に1人は認知症になるという事ですよね。

認知症になりたくない、家族がなって欲しくないとは思いながらも、認知症は出てきます。その時は早めに診断し、できる事とできない事を知る、家族や地域で支えるのが大切です。

若年性認知症とは

まれに若い人にも認知症は現れます。65歳未満の人に起こる認知症は、血管性認知症、アルツハイマー型認知症などを総称して若年性認知症と言います。若年性認知症の中でも血管性が最も多く、若いので認知症との意識や判断が遅れやすいのが特徴です。

若年性認知症は50歳頃が多く、高齢者がなりやすい認知症と同じく原因ははっきりしていません。アルコールを過度に摂取して脳が萎縮した、遺伝、脳の街娼や病気と言われています。

若年性認知症だと気付いたきっかけはもの忘れが多く、早めに気付けば治療で進行を遅らせる、判断力が低下する前に将来の事を話し合えるなどできる事はたくさんあります。まずは脳神経内科や心療内科、精神科で相談して、認知症の診断をしてもらいましょう。

認知症は治る?

認知症は治らないと言いますが、治る場合もあります。例えば脳腫瘍やアルコールが原因の認知症の場合、その原因を治せば認知症が治る可能性はあります。

また、アルツハイマー型認知症だと進行をおくらせる薬はありますし、血管性認知症なら脳卒中を起こさなければ症状は悪化しません。

どんな症状でどの程度かで薬が変わってくるので、まずは認知症の診断をしてからとなります。また、薬はあれど認知症のケアは家族などの介護者の接し方も大切です。適切なケアは何かなと考えるのが、認知症の人にも家族にとっても認知症と付き合っていくのに必要な事です。

認知症は脳の状態を観察して種類を分けています。そのため、この種類は色々とありますが、この症状が出たからこの認知症との判断は難しいです。また、この認知症だから普段の生活ではこう対応するとの答えもありません。人によって症状は違いますし、認知度の大小もあります。そのため、その時に家族や認知症の人に良いと思う対応をするのみです。

<第二章:認知症の始まりと進行、診断>

認知症には様々な症状があり、気付くきっかけも様々です。実際にこんな体験をしたとの声をまとめました。
また、私は介護現場で働いていますが、認知症が進行した時の症状も紹介します。

あれ?と思うきっかけ

ケース1:
夫が駅の出口を間違えたり、置き忘れがありました。最初はよくある事だと思っていました。

ケース2:
離れて暮らす母親から、一緒に暮らす自分の兄がお金を持ち逃げしたと電話がありました。兄は旅行に行ってただけだったので、認知症だと気付きました。

ケース3:
父の歩き方がおかしいと思い、医師に相談して認知症が発覚しました。

ケース4:
義理の母が夫を亡くした時に喪失感からうつだと診断されたのが認知症の始まりでした。

ケース5:
字が書けなくなり、自分で変だなと思うようになりました。心療内科を受診したら認知症でした。当時は心細かったです。

進行した時の症状

ケース1:
施設を初めて利用した時は穏やかな女性でしたが、次第に大声でしゃべるようになりました。その後、症状が進行して歩けなくなり、身動きもしなくなりました。

ケース2:
初めて利用した時から目の焦点は合っていませんでしたが、徘徊はありました。次第にトイレに立つ事が増え、尿が出てないのに出てると思い込み、歩く時の平行感覚がなくなっていきました。

ケース3:
施設では穏やかに過ごす方ですが、自宅では暴言を吐く事が多くなった方がいます。

ケース4:
施設を利用し始めた頃も今も穏やかに過ごしていますが、手にしたものを口に入れてしまう事がありました。食べ物とそうでない物の認知度が下がっています。

ケース5:
施設を利用した時はほとんど介助いらずで、話もしっかり通じました。現在も話は噛み合うのですが、異食がたまにあります。また、身の回りのものと自分のものの区別が付かなくなりました。

認知症の診断

認知症かなと思ったら、まずはかかりつけの医者に見てもらいます。医師が判断すれば専門医を紹介してもらい、認知症の診断を受けます。もしかかりつけ医がいなければ、地域包括センターや保健センターなどの地域の窓口に問い合わせましょう。

認知症の診断ができるのは、神経内科や神経科、精神科、心療内科、脳神経外科です。もの忘れ外来や認知症外来などもあり、住んでいる地域で調べてみると良いでしょう。

<検査内容>
認知症の検査は、質問に答えるものから尿や血液の検査があります。

・長谷川式認知症簡易評価スケール
→最も利用されている検査で、生年月日や計算から認知症度を診断する

・ミニメンタルステート検査
→長谷川式と同じく、質問に答えるもの。字を書く、図形を書くなどもある。長谷川式より問題が多い

・ウェクスラー記憶検査
→世界的に利用されている。言語の問題と図形を使った問題で、記憶力、集中力、注意力から認知度を判断

・CTやMRI検査
→脳の画像から認知症の進行度が分かる

・血液検査、尿検査、心電図、感染症検査など
→認知症以外の病気を発症していないか調べる

どの検査を用いるかは医師によりますが、長谷川式などの簡単なテストと脳の画像検査、血液検査などを組み合わせて認知症を診断します。
費用は数千円~2万円ほどです。簡単な検査だけなら数分で終わりますが、他の検査と組み合わせると時間がかかるので、余裕がある日に検査するとベストです。

また、あらかじめ認知症かなと思ったきっかけや気になる事をメモしておくと、問診の時にスムーズです。本人の前で言いにくいのなら予約した時に伝えるなどすると、医師と情報を共有しやすいでしょう。

<検査に行きたがらない時は>
「認知症の検査に行こう。」とストレートに言われると「えっ!?認知症じゃないよ!」と本人が嫌がる場合もあります。まだ大丈夫!と思っているかもしれませんし、自覚がないなら、なおさらイヤですよね。

そんな時は、認知症と言わずに「健康診断に行きましょう。」と言います。 また、持病があるならその検査のついでに別の検査もしとこうと言えば、スムーズに検査に行ってくれるかもしれません。

<検査で落ち込む場合もあり>
検査中に「こんな質問にも答えられないなんて…。」と気落ちするかもしれません。そんな時は「大丈夫!私だってあんな場所で医者に突然質問されたら緊張するよ!」など、励まします。

気落ちするとうつになって認知症が進行する可能性もあるので、大切なのは本人に笑ってもらう事です。検査の後は好きな物を食べたり、冗談を言って本人を笑わせるようにするのがお勧めです。そのため、検査後はなるべく一人にしないで、側にいてあげるのも良いですね。

認知症だと診断されたら

認知症の検査で認知症だと判断され、特にセカンドオピニオンを求めないならその結果を本人に伝えるべきかまずは考えましょう。認知症かもと自覚し、本人が認知症だと知っても落ち着いていられるなら伝えても問題ないと思います。しかし、いくら覚悟していたとしても認知症だと判断が下されれば落ち込むのは当然です。なるべく一緒にいてあげる、これからどうするか一緒に考えるなど、一緒に頑張ろうという姿勢を伝えるようにします。

そして、介護を視野にこれからの将来を考えていきます。地域包括センターに相談し、どうケアしていくのかケアプランを立てる、介護施設を見学するなどして家族や認知症本人の負担を減らしていきましょう。

最後に、認知症だと近所や認知症の人の知り合いに伝えておくのも1つの選択肢です。件 近所との付き合いが深ければ、徘徊をした時に家族に知らせてくれるなど見守り体制が強化できます。また、認知症の人の知り合いが、その人が認知症だと理解してくれれば会話を合わせたり、不審な行動があれば家族に知らせてくれるかもしれません。認知症を支える人が多ければそれだけ介護は楽になりますし、安心できます。

認知症だと他人に伝えると自尊心を傷付けるかもしれないので、ご近所や知り合いに認知症をお知らせするのは慎重に考えるべきですが、お知らせすると力になってくれるかもしれません。

認知症かなと思ったらまずは診断です。そして、検査結果が出たらこれからを考えましょう。認知症になったら気落ちするのは当たり前です。ただ、これからを考えれば対策や生活が見えてきます。

<第三章:認知症と付き合っていくために>

家族が認知症になると介護する側の負担は大きくなりますよね。また、認知症だと診断された人は気落ちして塞ぎ込みがちになってしまいます。そんなWのマイナスを突破するためには、なぜ問題になる行動をするのかを探っていくのが大切です。

認知症と上手く付き合うコツ

認知症は昔、痴呆症と呼ばれていました。今でも「うちのおじいちゃん、ボケちゃって…。」のように、ボケって使いますよね。しかし、このボケは「このボケナスがぁっ!」と使うように、相手を侮辱する言葉です。痴呆も同じように相手を侮辱する言葉として使われなくなり、認知症となりました。

つまり、認知症だとしても相手は人であり、尊厳は守るべきです。当たり前の事ですが、それが認知症と上手く付き合うコツです。それを具体的にすると、この4つがポイントです。

・できる事をお願いする

・プライドを傷付けない(全否定しない)

・過ごしやすい環境を作る

・なるべく人との繋がりを持つ

<できる事をお願いする>
認知症の進行度にもよりますが、体が動くなら家事などできる事をお願いします。これは、頼られている=必要な存在だと感じる=満足感や生きがいになるからです。

生きがいがないと身支度や整容がめんどくさくなり、塞ぎがちになりますよね。お皿洗い、洗濯を畳む、植物の水やりなど、時間がかかっても良いものをピックアップして頼みましょう。

<プライドを傷付けない(全否定しない)>
できる事をお願いして、それができなかったとしても、本人を責めてはいけません。誰だってプライドを傷付けられると落ち込みますよね。認知症だと余計に「やっぱり私はダメなんだ…。」と落ち込み、意欲がなくなります。できないなら気にしないで別の事をやれば良いのです。そして、できたら大げさでも感謝を伝えると、意欲が出ます。

ただ、ご飯を食べたのにまだ食べてないなど、どうしても否定しなきゃいけない時もあります。その時はやんわりとご飯を食べたと伝えます。または、じゃあ作りますねと肯定します。作ると言えば本人が落ち着き、ご飯を食べてないと言った事すら忘れてしまうかもしれません。

これが正解という対応はありませんが、否定する時はやんわりと伝える、肯定するを意識してトライしてみて下さい。

<過ごしやすい環境を作る>
言葉も分からないような知らない国で過ごすのは、誰だって不安ですよね。認知症の人はそれと同じく、周りが認知できない不安を抱えています。すると、何とかしようと人や物を探したり、部屋や家から出たがる、乱暴な言葉を使うなどの行動が現れます。

それを防ぐためには、過ごしやすい環境を作っておくようにします。施設入居や引っ越しを考えているなら、少しでも認知できるうちに行う、日当たりや風通しを良くして落ち着く空間にするなどです。伝えたい事を上手く言葉にできない症状も認知症にはあるので、過ごしやすい環境作りも大切です。

<なるべく人との繋がりを持つ>
認知症の人は不安感などから、話をしなくなります。しかし孤独感を感じると不安からうつになったり、認知症を進行させてしまいます。

人としゃべる、人に会うなど人との繋がりは、笑顔を生みます。笑うと血中の酸素濃度が上がり、血行が良くなる、リラックスするなど良い事がたくさんあり、笑顔は認知症に良いと言われます。また、人としゃべれば脳を使うので、認知機能の維持にも繋がります。

誰ともしゃべらない時に笑う機会って、ほとんどありませんよねw。家族と会話して笑顔になれば、認知症本人も介護する側もリラックスできて、血行が良くなりますよ。

困った!の具体的な対応案

認知症の人を介護する時によく聞くのが問題行動です。問題行動は認知症の人から見たら全て意味がある行動なので、近年は行動障害と呼びます。

よく聞く行動障害と、その具体的な対策案を体験と共に見ていきましょう。

<徘徊>
認知症で徘徊して行方不明になった、警察に保護されたとの話はよく聞きます。この徘徊ですが、無意味に見えて認知症の人からしたら意味があっての行動です。

例えば、会社勤めで退職した人は退職したのを理解せずに会社に行くと徘徊します。
また、家に誰もいないと思い込んで家族を探しに行く、息子がまだ小さいと思い込んで迎えに行くなど、徘徊にはその人なりの理由があります。

そのため、無理に外に出るなと言っても理解できず、余計に不安にさせてしまいます。

そこで、外に出るなら一緒に出て頃合いを見て帰るように促す、夜中に徘徊するなら日中は体を動かしてぐっすり眠るようにするなどが対策案です。

また、じゃあ車を出しますねと声をかけるだけで安心して徘徊が収まる場合もありますし、しばらくすると環境に慣れて徘徊自体が落ち着く場合もあります。

<幻覚>
幻覚は脳の錯覚であり、見えている本人からしたらとても怖い体験です。亡くなった人が立っている、知らない人がいるなどが本当にあったら恐怖しかありませんよね。認知症の人は、そんな状態で過ごしているのです。

私は実際に、認知症で幻覚がどう見えるのかという動画を見た事があります。それを見たら、うっすらと幽霊が立っているようで本当に怖かったです。

そこで、そんな人いないよ!と強く言い聞かせてはダメです。見えてるんだよ!と反感を買います。「今、出ていくように言いましたよ。」、虫がうじゃうじゃいる幻覚なら「スプレーを撒いたよ。」など会話対応をしましょう。

また、壁のシミや家具の隙間、加湿器など機械の音は幻覚を見やすくしてしまうので、できるだけ不安要素は取り除くと良しです。

<食事>
観葉植物など食べれない物を食べる、他人の食事に手を出すなども、なぜその行動をするのかを考えると、対策は見えてきます。

例えば食べれない物を口にしてしまうのは、お腹が空いているだけかもしれません。食べるのに時間がかかると「もう食べないよね。」と食器を片付けてしまうかもしれませんが、実はまだ食べたいのかもしれません。また、食事の時間にお腹が空いていなく、食事に手を付けてなくてお腹が空いたとも考えられます。
そして、観葉植物が食べ物じゃないと認知できずに手を伸ばしたのかもしれません。

また、他人の食事に手を出すのは、空間を認知する力がなくなり、目に入る物が自分の食事と思い込んでしまってるかもしれません。この場合は、その人の食事を最初に目の前に置くと解決する場合もあります。

<トイレ>
床やゴミ箱に放尿する、便を壁に擦り付けるなどで便を触る、汚れた下着を隠すなど、トイレや排泄物で介護者が困るのもよく耳にします。

床やゴミ箱に放尿するのはトイレに間に合わなかったから、便を壁に擦り付けるのは便と認知せずに壁紙を塗っていると思っているから、汚した下着を隠すのは失禁したのを知られるのが恥ずかしいからなどが考えられます。もちろんこれらは考察に過ぎませんが、その人なりの理由があります。

そのため、早めにトイレの声かけをする、下着を隠していたらすぐ分かるように下着の枚数を減らすなどの対策ができます。

<暴言や暴力>
認知症は常に不安な状態で、感情のコントロールが上手くいかない場合もあります。それゆえ、ただ病院に向かっているだけでも怒り出す事があります。

例えば、どこかに向かっているのは分かるけど何となくイヤな予感がする、歩くのに疲れた、車が揺れて気分が良くないなどです。

暴力や暴言が出たら、まずは距離を取ります。そして、暴言なら違う人に側にいるようにしてもらうのも1つの方法です。距離を取るのは介護者が傷付かないためです。

そして、どんな時に暴言や暴力が起きたのかを考えて、理由を考えます。理由が分からないのは当たり前ですが、日々の積み重ねで沸点が分かるかもしれません。

また、ケアマネージャーやかかりつけ医に相談して薬を変える、対策案でアドバイスをするなどをします。

<窃盗>
窃盗は盗もうと思ってしているのではなく、自分の物だと思っているのが理由の1つです。また、他人の物と分かっていても欲しいという感情のコントロールができなくなる、盗られてしまったら悲しいなどの人の気持ちに無関係になるなどの理由もあります。

対策としては、買い物に行くなら付き添う、デイサービスなど外出から帰ってきたらカバンの中を確認するなどです。こんな物が欲しいの?と思う物でも、盗もうと思ってる訳じゃないと理解しましょう。

<根本にあるのは脱水かも>
認知症の行動障害は、脱水が原因の場合もあります。トイレを控えるために飲まない、喉が乾いたと感じにくいなどで飲み物を摂取しないと、血液がドロドロになって脳の血行が悪くなり、脳が上手く働きません。すると注意力の低下や無気力などが起こります。徘徊は夕方や夜間によく聞きますが、それは脱水症からかもしれないとも言われます。

1日の水分量の目安は1500mlです。積極的に摂取しないと難しい量ですが、実際に水分をしっかり摂取し始めたら行動障害がなくなったとの体験談もあります。行動障害に悩んだら、まずは水分量を見直してみましょう。

NG対応

認知症の人の行動は、周りの人から見たら不可解な事もあります。しかし、問題になる行動だけを見てしまうのはNGです。行動だけを見てしまうと不可解でも、本人は間違った事をしているとは思っていませんし、それをやる理由があります。

そのため、認知症の人に「ダメだよ。」や「何やってるの!?」と否定的な言葉を投げ掛けるのはNGです。否定的な言葉で傷付き、余計に孤独を感じます。また、それが原因でしゃべらなくなり、無関心になると認知症を進行させてしまいます。

同じく「それをやったらお母さんに怒られるよ。」「孫に嫌われるよ。」などの脅迫もNGです。

否定しなきゃいけない時は、やんわりと否定する、または「それじゃあ~をしよう。」など代替え案を出して、その人の立場になって接するのがポイントです。

認知症の人に笑顔になってもらうには

認知症は進行するとできる事は少なくなりますが、相手の感情を読み取る機能はあまり低下しません。正面に立っている人が笑っていれば、その人も笑おうとします。

例えば、私は職場で身動きしなくなった認知症の人に、目を見て大げさ気味に笑顔で話しかけました。すると、その人の症状が明るくなったのです。言葉を発する事はできなくなった方ですが、うなり声で返事を返してくれました。

このように、認知症の人に笑顔になってもらうにはこちらも笑顔で接するのです。この接し方を「ユマニチュード」と言います。ユマニチュードはフランス語で人間らしさを意味し、相手に敬意を持って接するコミュニケーション方法です。

正面から同じ目線で優しく見る、ゆっくりと優しく話しかける、優しく触る、ケアに立つを取り入れる(筋力の低下を防ぐため)などがユマニチュードを具体的に表す行動です。当たり前のようですが、相手が認知症で不可解な行動を取っていると思っていると疲れてしまい、人間らしく接するのを忘れてしまいます。

認知症の人に笑顔になってもらうためには、こちらも笑顔になる、優しく接すると頭の片隅に置いときましょう。そして、介護に疲れてしまった時はユマニチュードをどうか思い出して下さい。

認知症の人が悪いんじゃないけども、介護は24時間365日でどうしても疲れてしまいます。行動障害があるとなおさらですよね。そんな時はショートステイ(短期間の宿泊と介護ケアができる施設)を利用して休息を取るなど、上手く息抜きしていきましょう。

そして、認知症の行動障害は誰にでも現れて誰もが悩む事です。あなたは一人ではないので、ケアマネやかかりつけ医などに相談しましょうね。

<第四章:認知症で利用できるサービス>

認知症と診断され、介護が必要になれば介護サービスを利用できます。介護サービスを利用するためには介護認定を受け、ケアマネがケアプランを立てるのですが、それらの手続きは地域包括センターで行います。なので、まずは住んでいる地域の地域包括センターに相談しましょう。

そして、実際に介護サービスを利用するとなると、認知症で利用できるサービスはたくさんあります。

<自宅から通う、自宅で受けるサービス>
・デイサービス
→レクリエーション、機能訓練、食事、入浴など日中に施設に通って受けるサービス

・ショートステイ
→介護施設にお泊まりする。家族の休息や用事にも便利

・訪問介護(ホームヘルパー)
→お手伝いさんのように家事やゴミだしをする、入浴サポートなど介護的な手伝いもできる。訪問看護や訪問入浴もあり。

・福祉用具貸し出し/住宅リフォーム
→車イスや歩行機など必要な物を貸し出し、手すりなど介護しやすい住宅にリフォームするための補助

・小規模多機能型居宅介護
→デイサービス、ショートステイ、訪問介護を組み合わせたもの

介護保険で受けるサービスは、介護認定後に利用します。いくらまで補助が出るかは、認定時に決められた介護レベル(要介護1や2など)によります。

また、介護サービスは必要な時に利用します。軽度の認知症で1人で入浴しても問題ないなら訪問入浴は利用しませんし、軽度でも家事に不安があるならホームヘルパーで家事のお手伝いをしてもらうなどです。何に困っていてどのサービスが必要かは、本人や家族が話し合うと良いでしょう。

<施設に入居し、そこに住むサービス>
・特別養護老人ホーム
→要介護3以上で入居でき、入居待ちも多い

・介護老人保健施設
→要介護1以上で、リハビリをして在宅に戻るための施設

・介護医療院
→重めの介護状態で利用する

・介護付き有料老人ホーム
→民間企業が運営し、リハビリや入浴などの介護サービスが利用できる

・グループホーム
→認知症の人が共同生活をして暮らす

・住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅
→軽度の介護状態から入居でき、介護サービスも利用できる

施設では、軽度の認知症なら入れる施設もあれば重度でも大丈夫な施設もあります。重い行動障害で施設では対応できないと言われ、泣く泣く退去した…との体験談もあるので、入居時の説明で退去しなければいけない時はどんな時かしっかり聞いておきましょう。

<その他>
・認知症カフェ(オレンジカフェ)

・家事代行や便利屋(ペットの世話、掃除など)

・配食サービス

・オムツ購入金の助成

・シルバー人材サービスでの援助(散歩の付き添いなど)

認知症カフェは、認知症の人やその家族が気軽に立ち寄って交流を深めるカフェです。場所は普通のカフェや介護施設の一角などで、地域で定期的に開催されます。ここでは介護職などの専門のスタッフがいて情報交換をしたり、歌や工作をするなどの催しもあります。
また、認知症の人が自ら働くカフェもあります。

そして、家事代行や便利屋、配食サービスなどは認知症や介護状態に限らずに利用できます。保険内の介護サービスは、草むしりなどの介護に関係ない事はできないので、ちょっとした時に介護保険外のサービスを使うと便利です。

※ホームヘルパーでも保険外サービスを利用できる場合もあるので、まずは相談してください。

この他にも自治体が独自で行う助成もあります。オムツ購入代金の補助、タクシーやバス代金補助などもあるので、住んでいる自治体にどんなサービスがあるか聞いてみると良いでしょう。

認知症になったら大変…と思うのは普通です。いくら認知症を理解していても、負担は減りません。ただ、その負担を軽くするサービスや気分転換になるサービスはあります。どのサービスを利用するかは本人や家族次第なので、まずは何に困っているのかピックアップしていくと良いですね。

<第五章:認知症にならないために>

認知症の原因ははっきりと分かっていない部分もありますが、普段の生活が影響する部分もあります。そのため、コツコツと体や頭に良いと言われる事を取り入れていきます。
また、50代後半から認知症になるリスクは高まると言います。まだ現役で働いている年齢ですが、この時期から両親と共に自分も認知症予防をしていくのがベストです。

運動

健康に良いもの代名詞と言えば運動ですよね。運動は血行を良くします。血行が良くなれば脳の血行も良くなり、不要なたんぱく質を外に出す事ができるのではないかと言われています。この不要なたんぱく質が脳に溜まると認知症が現れ、実際に運動をする人は認知症になるリスクを減らせるのが分かっています。

激しい運動ではなく、散歩や家事などの軽い運動で大丈夫です。1日に15分歩くのを続けると良いとも言われますし、掃除を1日30分行うのを続けるのも良いと言われます。

食事

食事も健康に大切な事ですよね。食事では、糖質や塩分を抑えるのを意識しましょう。なぜなら、糖尿病だと認知症のリスクが高まり、高血圧だと動脈硬化で脳血管性認知症のリスクが上がるからです。

また、栄養バランスを考えた食事にするのももちろん大切です。「認知症にはコレがいい!」と言われる食材もありますが、それにとらわれ過ぎると偏食になりますし、食材は薬じゃないので必ずしも効果がある訳じゃありません。そのため、バランスを考えるようにしましょう。

そして、よく噛むのを意識します。歯と認知症の関係はあまり解明されていませんが、歯がない人よりもある人の方が認知症になりにくい、ガムを噛んでいる時は脳の血行が良くなるなど、歯と認知症に関するデータはあります。

理想的なのは一口で30回噛む事ですが…。毎食を一口30回も噛んでいたらキリがありませんよねw。なので、最初に食べる一品ごとに30回噛むで良しとしましょう。ご飯を一口30回噛んだら、次はおかずで一口30回、次にご飯を普通に食べるようにすると、負担は少ないです。習慣にするのが大切なので、一品一口30回としましょう。

会話

会話をすると脳は活性化します。会話をするには脳に酸素や栄養を送る必要があり、脳の血行を良くするからです。

また、会話をすると人とのコミュニケーションができて孤独感を和らげますし、ストレス発散にもなります。ぜひ、デイサービスや認知症カフェでおしゃべりしてみてはどうでしょうか。

ただ、人としゃべるのが苦手という人もいますよね。知らない人としゃべるのが好きって人もあまりいないと思います。そんな時は、シルバー人材派遣やボランティア、趣味サークルで人との関わりを持ってみてはどうでしょうか。きっかけさえあれば会話は生まれますし、軽い運動にもなりますよ。

ちなみに、テレビを見るのは会話には含まれません。いくら賑やかなテレビを見ていても、テレビを見る時は会話とは違う場所の脳が働きます。そのため、テレビを見るのは1日に3時間までにするべしです。

コグニサイズ

コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが認知症を防ぐのを目的にした頭と体を使った運動です。

例えば、ウォーキングしながらしりとりや計算をする、ステップを踏みながら3の倍数で手を叩くなどです。1人でもできますし、大人数でもできるのでデイサービスなどのレクリエーションに取り入れています。

コグニサイズは動作やルールは簡単ですが、同時に複数の事をやるので脳トレになります。また、厳密なルールはありません。3の倍数を5の倍数にしたり、3と5の倍数で手を叩くなど自由にアレンジできます。

コグニサイズはラジオ体操をしながら一人しりとりをする、歩きながら川柳を作るなど、いつどこでもコグニサイズは取り入れる事ができます。
そして、間違えたら笑って盛り上がりましょう。コグニサイズは、できた・できないではありません。頭と体を使うのが目的なので、間違っても全く問題なしです。「そんな事もできないの!?」と絶対に責めないようにしましょうね。

笑顔で過ごす

認知症予防で最も大切な事ではないかと思います。認知症になったら大変だな…と恐れて過ごすよりも、認知症になっても介護サービスなど社会で支える仕組みがある!と前向きに考えるべしです。

笑いは介護予防になるとのデータもあります。ほぼ毎日笑う人は、ほとんど笑わない人に比べて認定度の低下が防げるとのデータがあります。認知機能が低下していないから笑うとの見方もありますが、面白いから笑うのであり、面白いと脳が認識するのは脳が活性化しているとも考えられます。また、大笑いすると腹式呼吸になり、空気をたくさん吸います。その結果、脳内の血行が良くなります。

そして、 笑いを取り入れると糖尿病の人の血糖値の上昇が緩やかになったとのデータもあります。

歳を重ねると、子供のように大笑いをする機会はなかなかありませんよね。だからこそ、会話やコグニサイズなど積極的に体や頭を動かして笑う機会を作りましょう。

また、笑いヨガ(空気をたくさん吸ってわざと笑う)のように何もない時に笑う健康法もあります。最初は恥ずかしいかもしれませんが、笑っているうちにおかしくなって本当の笑いになっていきます。

前向きに笑顔で過ごすのはどんな病気にでも大切なので、ぜひ笑いや笑顔を取り入れて下さいね。

趣味を取り入れる

笑顔や生きがいにも繋がる事ですが、認知症を防ぐためには趣味を日常生活に取り入れるのもお勧めです。なぜなら、趣味に没頭すると集中力が付きますよね。また、もの作りやゲームなどの勝負事は達成感にも繋がります。

特に、趣味の中でも編み物やプラモデルの工作などは指先を使うので脳の刺激にもなります。 また、脳トレもゲーム機や本、インターネットにたくさんありますし、今まで興味がない分野でも試しにやってみてはどうでしょうか。

認知症は両親がなっても、自分がいつかなってもおかしくありません。また、アルツハイマー型認知症だと始まりはごく小さな事なので、気付かない場合もあります。認知症かなと思ったら認知症診断をして、これからの生活に備えましょう。そして、認知症を防ぐ生活を取り入れていくようにしましょう。

認知症の人の自己肯定感

認知症の人は、自己肯定感が低くなりやすいので、周囲の人が、「相手の自己肯定感が高まる関わり方」を理解しておくことが【重要】です。自己肯定感は自分で高めていくことも可能ですが、周囲の人の関わり方次第で、低くもなったり、高くもなったりします。では、「相手の自己肯定感が高まる関わり方」というのは、どういったものがあるのか。

まず、自己肯定感とは何かについて、下記の文章をお読み下さい。

自己(自分自身)を肯定的に解釈して生まれる肯定的な感情のことで、積極的に肯定して生まれる感情。

引用元:自己肯定感 – Wikipedia

上記の「自分のことを、肯定的に解釈して生まれる感情が、自己肯定感」です。ということは、「相手の自己肯定感が高まる関わり方」というのは、相手が自分のことを肯定的に解釈出来るような関わり方なのです。しかし、人は中々、自分を全肯定は出来ません。認知症なら尚更肯定する解釈を見つけにくいです。ですので、周囲の人が、相手の1つ1つ、凡ゆる部分に対して、積極的に、肯定的な解釈をして、その見方、考え方などを、コミュニケーションを通じて、笑顔と併せて伝えてあげ続けることで、徐々に、認知症の人でも、自己肯定感が高まっていく可能性が高いと言えます。ぜひ、やってみて下さい。自己肯定感を高めるために大切なことは「自己肯定感を高める方法(Amazon)」の本を読んでみて下さい。

 

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