私の産まれた地域では雪が滅多に降りません。一年に一回でも舞雪が見れれば、それはラッキーという考えです。しかも舞雪は局地的に降るため、私の家の周りは降ったけど、おじいちゃんの家の周りは降らないという事もあります。
なのでおじいちゃんは、産まれてから雪をあまり見たことがないそうです。舞雪なら数回は見たけど、雪が積もったところは見たことありません。なので、おじいちゃんと富士山の麓まで旅行しにいきました。おじいちゃんはもう足が弱くなっているため、ゆっくりと車でいきました。
富士山の麓まで行くと、空気がひんやりと冷たかったです。自宅よりも気温が低いんだなぁと感じました。そして雪もありました。道の両脇に雪が積もっていて、樹海にも雪がありました。おじいちゃんはその雪に驚いていました。「わしゃ、こんなに積もってる雪を見たことがない。」と、車から雪を楽しそうに眺めていました。雪だけでこんなに楽しそうにしているおじいちゃんは、まるで子供のようでした。
「死ぬ前に雪をこんなに見れて幸せだ。」とまで言っていました。なので私は「なに言ってるの?東北はもっと雪が凄いんだよ?また連れていってあげるから、もっと長生きしてね。」と返しました。
そしたらおじいちゃんは「おう。」と元気そうでした。