都落ちトラベラー

様々なカードゲームが世に出回っている昨今。あなたは、多用な遊びができ手品にも用いられるカードゲームが存在していることをお忘れではないでしょうか。
そうです。トランプです。
忘れるといいますか、誰しもが一度は目にし触れたことのあるカードゲームだと思うのですが、今回はそのトランプのとあるゲームに纏わる、非常に心に残る楽しかった旅行について紹介していきたいと思います。
大富豪。貧富の差をおもしろおかしく54枚のカードで表現し勝敗を競っていくゲームですが、私たちはこのとき、この遊びに熱中し毎日毎晩馬鹿騒ぎをしていました。
修学旅行の夜でした。
旅行先がどれだけ退屈で興味が無かったのか、私たちは夜になると決まって一つの部屋に集うのでした。
そうして行われる、大富豪。地域によっては大貧民と呼ばれるその遊びで、私たちは本気も本気、真剣勝負で戦いに臨んでいました。
旅行最終日前夜。寝不足がピークです。それでも私たちは毎度の如くその部屋を訪れるのでした。
長き戦いの閉幕。いつもは自分の部屋に戻っていた私でしたが、その日は最終日記念ということでその部屋で眠ることにしました。
いつの間にか朝になりました。
暗い部屋の中で私たち以外の何物かが蠢いています。そして叩き起こされる私たち。
先生です。先生?!
マスターキーによって侵入してきた人物は後にホテルの管理人さんであることが分かりましたが、私たちが寝坊したことは決して揺るがない真実でした。
今回のオチと言いますか、落とし所といたしまして。
勝負がある毎に私が大富豪として君臨していたその地位は、ゲームの枠外にいたオブザーバーの手によって剥奪され、都落ちのような状態になってしまいました。自分の部屋以外で寝ることは禁止されていたので、あのとき部屋に侵入してきたのが先生ではなかったことに安心して、みんなで胸を撫で下ろし笑いました。もちろん、寝坊し集合時間に遅れた後にはしっかり反省して謝りましたが。
旅行する過程で何が一番楽しいのか。その答えが、共に馬鹿騒ぎできる仲間にあるのではないかと思えた瞬間でした。